自然流産

体の異変は流産したと申告された日の夜。

 

 


いろいろ疲れていたからか遅い昼寝をして目を覚ましたのが19時前ごろ。

違和感からトイレに行くと出血量が増えていた。

しかも明らかに鮮血。

事前に調べていたのでその後も落ち着いて行動できたと思うが、

ネットでよく見かけた『陣痛のような強い痛み』は特になく、

相変わらずほぼ生理痛のような症状にプラスして下腹部の張りというか重い感じ。

20時ごろにはおりものシートでは追いつけない量になり、

一旦手持ちの布ナプキンを取り出しあてがうが

その後も急激に出血量は増えていった。

これは追いつかないなと買ったばかりの夜用ナプキン(羽根つき37cm)を

早速1個使用したのが21時すぎ。

ただ、それも30分経たないうちに生理2日目の夜くらいの量の出血と

どろっとした血液や組織の塊が立て続けに、

ウミガメの産卵を思い起こさせるような異物の排出感。

結局23時ごろまでに夜用ナプキンをさらに3個使用。

ナプキンを取り替えるたびにトイレに座ってはぽこぽこと異物が落ちていき、

替えてもじわじわ出血する感じと異物がどろりと落ちてくるさまを

しょっちゅう感じていた。

トイレの使用後を覗くたび、真っ赤になった水の底にはナプキンにもあった

どろっとした塊がいくつも沈んでいた。

あの出血量と大きな塊を受け止められるナプキンがこのとき手元にあったのは

大変ありがたいことだった。手術に向けていち早く準備して本当によかった。

布ナプキンだったらおそらくトイレから出られなかったと思うし、

家族も当然トイレを使うから迷惑をかけてしまったかも知れない。

ひょっとしたら出血で家中大惨事になっていたかも知れない。

すぐに買っておいてよかったと心から思った。

大量の出血のなか、とろけたレバーを思わせるあの塊を受け止めるたび、

トイレの底に沈んだそれを見るたび、

どこかにひょっとしたら胎のうや胎芽がいるかも知れないとは思ったが、

それを拾って姿を見るという発想もなければ、

それらを見て涙がこみあげるということもなかった。

ただ、水を流すたび、ナプキンを片付けるたび、その都度心のなかで祈った。

今度は忘れ物に十分気をつけて、心からあなたを待ち望むひとのもとへ行って、

ぜひ誰よりも幸せな赤ちゃんに、幸せなひとになるんだよ、と。

 

塊はこのナプキン4個一気替えの後は出なくなった。

ただ、昼寝のせいか動揺が激しいからか眠れない。

日付が変わって午前1時ごろ、そこそこ出血量もあり貧血も心配だったが

それ以上に全身が不快でさっぱり洗い流そうとシャワーを浴びる前、

脱衣所で見た4枚目のナプキンは3枚目までのような塊もなく、

出血も3日目の夜くらいの量。あっけないと思うくらい少なくて驚いた。

その後、椅子に腰掛けたままでシャワーを浴び、

着替えの際には夜用ナプキンの上に念のため布ナプキンをあてがって、

いつもどおりに歯を磨いて床についた。